「最初に人を選び、次に方向を決める」という考え方は、『ビジョナリー・カンパニー2』の中でも特に重要な原則であり、経営者にとって戦略よりも先に“人”が最優先であることを説いています。
1,この考え方の核心:
「どこへ行くか」よりも、
「誰と行くか」が成功を決める。
2,「バスに乗せる」という喩(たとえ、比喩)の意味
ジム・コリンズは会社を「バス」にたとえて、以下のように説明しています:
メタファーの要素 | 意味 |
バス | 会社・組織 |
バスに乗せる | 適切な人材を採用・配置する |
間違った人を降ろす | 組織文化に合わない人を排除する |
座席を決める | 適切な人を「正しいポジション」に置く |
行き先(方向)を決める | ビジョン・戦略を定める |
3,なぜ「人」が先なのか?
- 変化に強い組織になる
- 市場や環境は常に変わる。
- 「正しい人」がいれば、方向転換や危機にも柔軟に対応できる。
- 戦略の実行力が上がる
- どんなに優れた戦略も、それを動かす人が不適切なら成果は出ない。
- 正しい人は、管理されなくても、自律的に動ける。
- 価値観・文化の保持が容易になる
- 「能力」よりも「価値観の共有」が組織文化を形づくる。
- 価値観がズレた人がいると、企業文化が壊れる。
4,どうやって「正しい人」を見極めるか?
観点 | 質問例 |
価値観の一致 | うちの理念に共感しているか?口先だけでなく行動で表れているか? |
自律性 | 指示がなくても動けるか?問題解決の姿勢があるか? |
チーム適性 | 他人を尊重し、周囲と協調できるか?信頼を得られる人物か? |
将来性 | 長期的に組織に貢献する意志があるか?成長志向があるか? |
5,適切な人がいない場合は?
「正しい人がいないまま戦略を決めることはリスク」です。
仮に、どれほど優れたビジョンや計画があっても、「間違った人」が実行すれば、組織は迷走するか、止まってしまう。
6,経営者としての行動指針
行動 | 意図 |
採用時、「能力」より「価値観の一致」を優先する | 組織文化の破壊を防ぐ |
初期の段階で“合わない人”を見極め、潔く手を打つ | 後回しにすると問題は大きくなる |
異動や配置転換で「座席の最適化」を常に見直す | 人材のポテンシャルを最大化 |
方向性(戦略)よりも、まず「誰と進むか」を決める | 戦略は後からでも変えられる |
如何でしたでしょうか?ビジョナリー・カンパニー2では、「Good(良い)」な企業から「Great(偉大)」な企業になるための指針を示してくれています。一般的には、企業の経営戦略に合致した人材を採用しようとしそうですが、それでは、「Great」になれないと言っているのですね。納得感があります。
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