前回説明した「偉大な企業に共通する6つの要因」の一番目は「第五水準のリーダーシップ(Level 5 Leadership)」です。『ビジョナリー・カンパニー2(Good to Great)』で提唱した、偉大な企業に共通して見られたリーダー像とはどんなリーダーでしょう。これは、単なる有能な経営者やカリスマ的リーダーとは異なる、「謙虚さ」と「揺るぎない意志」を兼ね備えた人物像です。
第五水準のリーダーシップとは?
概要
「謙虚な人柄」×「プロフェッショナルとしての強い意志」
この相反する2つの特性を持つ経営者が、企業を“良い(Good)”から“偉大(Great)”へと導いたというのです。まずは、リーダーシップの5段階を見ていきましょう。
リーダーシップの5段階(ジム・コリンズによる階層)
レベル | 内容 |
レベル1 | 有能な個人:知識・スキルを備え、成果を出す |
レベル2 | 貢献するチームメンバー:チームで協調し、貢献 |
レベル3 | 有能な管理者:人や資源を効率よく管理 |
レベル4 | 有能な経営者:明確なビジョンを示し、組織を成果に導く |
レベル5 | 第五水準のリーダー:組織の永続的な成功に献身し、私心なきリーダーシップを発揮 |
なるほど、「俺が俺が」ではなく「私心無き」というところがポイントですね。
次に、第五水準リーダーの2大特性と見ていきましょう
特性 | 内容 |
謙虚さ(Humility) | 成果を自分ではなく「周囲のチーム・運」に帰す。自己顕示欲がない。後継者の成功を願う。 |
意志の強さ(Will) | 困難な状況でも会社のために「何が正しいか」を追求し続ける。短期的利益に流されない。 |
経営者が学ぶべきポイント
ポイント | 意味 |
「カリスマ」ではなく「後継可能な構造」を作れるか? | 自分がいなくなっても企業が成長できるかが真価 |
謙虚さは弱さではなく「強さの表れ」 | 批判を受け止め、事実に正面から向き合う姿勢が組織を成長させる |
意志は「短期利益」でなく「企業の使命」に向ける | 組織の本質的価値に基づく長期的な決断を貫けるか |
如何でしたでしょうか?第五水準のリーダーとは、「表に出ない英雄」ですね。成功を他者に譲り、責任は自分が引き受け、結果として、企業は「偉大さ(Great)」を手に入れる。すばらしい考え方です。偉大な(Great)企業になるには時間もかかるでしょうが、自分がいなくなっても成長できる組織を育んでいかなくてはなりません。
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