法人税の基礎知識その⑦ 法定実効税率とは
2024.8.5
法人税の基礎知識の最終回として「法定実効税率」を取り上げます。過去にコラムで紹介した5つの法人にかかる税金(①法人税、②法人住民税、③地方法人税、④法人事業税、⑤特別法人事業税、)の復習にもなります。
法定実効税率とは、所得(儲け)に対して負担することになる法人税等の割合のことをいいます。いろんな税金があるけど、いったい何%税金に持っていかれるのかという税率です。
では、どのような場面で法定実効税率は、利用されるのでしょう。まず、税効果会計の適用にあたっての計算式で利用されます。繰延税金資産や繰延税金負債の計上額を計算する際に利用されます。また、法人保険に加入する際の節税効果を試算する際にも利用されます。
次に、事業計画を作成する際などにも利用されます。将来の事業計画書の中で、将来の利益にかかる法人税等も考慮することにより、詳細な事業計画を立てることができます。
ところが、法定実効税率の計算でややこしい部分があります。それは、事業税(事業税と特別法人事業税の合計は損金の額に算入することができ、法人税を減らす効果があることです。そのため、単純に税率を足すのではなく、事業税の損金算入効果を考慮した計算式とする必要があります。この計算は循環します。
東京都23区に会社が所在する所得があまり大きくない中小企業を例にして、計算してみましょう。
3,358,299円÷10,000,000円×100=33.58% となります。
超過税率があったり、軽減税率があったり、所在地によって違ったり、複数の事業所があったりなどで、少し違いがあります。法定実効税率は、概ね、30%程度から35%程度です。
個人も法人も税金は払いたくないですよね。但し、税金を払うようにならないと内部留保は溜まっていきません。個人も税金を払わないとお金を貯めることは出来ません。綱渡りの経営より、まずは安定経営を心掛けましょう。