法人税の基礎知識その⑥ 特別法人事業税とは

2024.7.22

 
法人の利益に係る税金の最後に「特別法人事業税」を取り上げます。
「特別」とは、何が特別なのでしょう。
では、例によって、総務省のホームページの説明を見ていきましょう。
 
地方法人課税の偏在是正(一部抜粋、加筆) 
地方団体が抱える根本的な課題の1つに税収の偏りがあります。例えば大企業が集まる東京都などの都市部とそのほかの地方団体とでは、税収に大きな偏りが生じています。 
 
そこで、2008(平成20)年度から実施されたのが地方法人特別税と地方法人特別譲与税です。この制度は、法人事業税の一部を一度国が集めて(このお金を地方法人特別税といいます)、その集めたお金を地方団体の人口などに基づいて配る(このお金を地方法人特別譲与税といいます)ものです。この制度は2019(令和元)年9月30日で終了しましたが、次に述べる特別法人事業税と特別法人事業譲与税に引き継がれています。

特別法人事業税・特別法人事業譲与税 2008(平成20)年度から始まった地方法人特別税(譲与税)の制度により、地方団体間の偏在是正は行われてきたものの、法人税収の都市部への集中が続きました。また地方法人特別税(譲与税)が暫定的な措置であったことを踏まえて、2019(令和元)年10月から特別法人事業税・特別法人事業譲与税が創設されました。

如何でしょうか?「特別法人事業税」は、2019年からの制度なのですね。税金の名称を付ける際に「地方法人特別税」と区別したかったのでしょう。また、「特別法人事業税」の納税義務者は「法人事業税」の納税義務者と同じなので、法人事業税を納める人に特別に追加で納めてもらう意味合いもあって「特別法人事業税」となったのかもしれません。*ちなみに、2019年の変更で増税にはなっていません。

計算式は、以下の通りです。特別法人事業税=法人事業税×特別法人事業税率(所得割額又は収入割額)
税率は、以下の通りです。基準法人所得割額
外形標準課税法人・特別法人以外の法人 37%
外形標準課税法人 260%
特別法人 34.5%

基準法人収入割額
小売電気事業等・発電事業等及び特定卸供給事業を行う法人以外の法人 30%
小売電気事業等・発電事業等及び特定卸供給事業を行う法人 40%
*収入割額は、電気供給業、ガス供給業、保険業又は貿易保険業で、所得(利益)に対してではなく収入に対して課税される一定の事業者に適用されます。

なので、一般の中小企業は、37%が適用されます。

前回の法人事業税で例に出した、所得(利益)1,000万円の企業の法人事業税は492,000円でした。従って、特別法人事業税は、492,000円×37%=182,040円となります。
法人事業税と特別法人事業税は、セットですね。もちろん、赤字企業には法人事業税も特別法人事業税も課税されません。