法人税を払って会社を強くする
2024.8.20
法人税は、多くの経営者にとって避けて通りたいコストの一つです。しかし、法人税を正しく理解し、積極的に支払うことで、会社の成長と持続可能性を高めることができるという視点を持つことが重要です。
2015年にご縁のあったある経営者の方が「会社が儲かりだすと保険が好きになるんだよね。」とおっしゃっていました。当時は、いわゆる節税保険が流行っていましたので、そういう発言になったのだと思います。節税に精を出すのもよいのですが、法人税を支払って、内部留保を厚くするメリットを考えていきましょう。
まず、法人税を支払うことは、社会的責任を果たすことにつながります。企業は社会の一員として、公平に負担を分かち合うことが求められています。法人税の納付は、企業がその利益を公正に分配し、社会全体の発展に貢献している証です。この姿勢は、顧客や取引先、投資家からの信頼を得ることにつながり、ひいては企業のブランド価値を高める効果があります。
法人税を支払った後の利益は、内部留保として、資本の部の利益剰余金の額に現れます。本コラムで「貸借対照表の重要な勘定科目」というテーマで利益剰余金を取り上げました。決算書を受け取ると、まずチェックするのは利益剰余金の額と設立年数です。何年かけて今の利益を蓄積していったのかを見ます。
また、法人税を節税しすぎると、節税のために資金が出ていくので、現金が不足し、長期的な成長戦略が犠牲になるリスクがあります。適正な税務計画を立て、安定した利益を確保しましょう。そうすることで、持続可能な成長のための基盤を築くことができます。
さらに、内部留保で現金を蓄積しておけば、社内のリソースを効率的に再配分したり、新たな事業展開や設備投資に充てたりすることが可能となります。これは、企業が市場での競争力を維持し、さらなる成長を実現するための重要な要素です。
最後に、法人税を通じて得られる社会的信用も見逃せません。法人税を正しく納めている企業は、透明性と信頼性の高い企業として評価されます。これにより、優秀な人材の獲得や資金調達の円滑化など、企業活動全般においてプラスの影響をもたらすことが期待できます。
法人税を適正に納めることは、単なるコストではなく、企業を強くし、持続可能な成長を支えるための重要な「投資」と捉えるべきです。長期的な視点を持ち、法人税を前向きに捉えることで、企業はより強固な基盤を築き、社会的にも評価される存在となるでしょう。