法人税の基礎知識その⑤ 法人事業税とは
2024.7.5
今回は「法人事業税」を取り上げます。法人に係る税金は、随分といろんな種類がありますね。法人事業税とは、法人に対する税というよりも、法人が行う事業に対する税金です。なので、どこでどんな事業を行っているのか、何人でその事業を行っているのかという判断基準となります。法人に係る税金の中で一番複雑だと思います。
では、総務省のホームページの説明を見ていきましょう。
法人事業税
例えば、法人がスーパーマーケットを経営しようとするとき、店舗、商品、従業者以外にどういったものが必要になるでしょうか。その店舗につながる道路や上下水道などが整備されている必要がありますね。このように、法人はその事業活動を行うに当たって地方団体からさまざまな行政サービスを受けています。法人はこうした行政サービスに必要な経費を負担すべきであると考えられています。この考え方に基づき課税されるのが、法人事業税です。
おや?この説明は、「法人住民税」のところで同じような説明があったのでは?と思われたと思います。
総務省では、勘違いされやすい「法人住民税」と「法人事業税」の違いをホームページに掲載しています。3つの違いを見ていきましょう。
法人住民税と法人事業税
法人住民税と法人事業税は似たような名前ですが、性質は全く異なります。
1つ目の違いは、法人の何に対して課される税であるかという点です。法人住民税は地域社会の一構成員としての法人自体に対して課されるのに対して、法人事業税は法人が行う事業に対して課されます。
2つ目の違いは、納税先です。法人住民税は都道府県・市町村のそれぞれに納める税であるのに対して、法人事業税は都道府県に納める税です。
3つ目の違いは、分割基準です。法人住民税は従業者数のみが基準であるのに対して、法人事業税は業種の特徴を考慮して、従業者数のほかに様々な基準が設けられています。
だんだんと「法人事業税とは」が分かってきたのではないでしょうか。
法人事業税がいくらになるのか調べるためには、①法人の種類、②資本金額、③年間所得など、会社が当てはまる税率と区分を調べる必要があります。(すごく面倒です)
ここから、東京都を例に法人事業税の計算例をお示しします。
東京都主税局
法人事業税・法人都民税
多くの中小企業は、事業の区分は「1号」、法人の種類は「普通法人」、事業税の区分は「軽減税率適用法人」に該当します。
その場合、税率は以下の通りです。
年400万円以下の所得 3.5%
年400万円を超え年800万円以下の所得 5.3%
年800万円を超える所得 7.0%
例えば、益金から損金を差し引いた課税所得標準額が、1,000万円だった場合は、以下の通りです。
400万円×3.5%=140,000円
400万円×5.3%=212,000円
200万円×7.0%=140,000円
合計 492,000円 となります。
多いような少ないような、微妙な感じです。もちろん、赤字企業はゼロ円です。但し、大企業の場合「外形標準課税」という赤字でも納税しなくてはならない「法人事業税」があります。