法人税の基礎知識③ 法人税住民税とは

2024.6.5

 
個人であれば、所得税と住民税を支払うのは当然ですが、法人には「法人住民税」が課せられます。法人住民税とは、会社を登記している都道府県や市町村の自治体に対して納税する税金です。地域によって、東京都は法人都民税、北海道は法人道民税、大阪府や京都府は法人府民税、その他の県は法人県民税と呼ばれています。
 
では、何故、法人も住民税を支払うのでしょうか?地方自治体を管轄する総務省のホームページでは、以下の説明がなされています。
「皆さん、トレーニングジムを思い浮かべてみてください。個人会員や法人会員は、ジムのトレーニングマシンなどを利用するために、ジムに会費を支払っています。言い換えると、個人や法人は、ジムが提供するサービスを享受するために、ジムの構成員として会費を負担しあっているということです。ここで地域社会に目を移すと、法人も個人と同様に、地方団体(都道府県と市町村)が提供する行政サービスを享受しています。そこで地方団体は地域社会の会費として、その構成員である法人にも、個人と同様に幅広く負担を求めています。これを法人住民税といいます。」
 
法人住民税は、ひとつの税金ですが、「均等割」と「法人税割」の 2つに分けて計算されています。
 
「均等割り」は、資本金や従業員数で金額が決まるので、赤字の法人であっても納付しなくてはなりません。一方、「法人税割」は、法人税を元に計算されるので、赤字であれば支払う必要はありません。法人税を支払うような黒字企業の場合は、両方払う必要があります。
 
「均等割り」に関する総務省の説明は以下の通り。
都道府県民税は資本金等の額によって 5つの区分、市町村民税は資本金等の額・従業者数によって 9つの区分に分けて、それぞれ下表のとおりです。
 

 
どんなに小規模な会社(資本金の額が 1千万円以下、従業員数 50人以下)でも、都道府県民税均等割 2万円と市町村民税 5万円、合計 7万円を支払う必要があります。ということは、どんなに赤字でも 7万円払い続けないと法人として維持できないことになります。
 
「法人税割」に関する総務省の説明は以下の通り。
法人が国に納めた法人税額に一定税率を乗じた額が法人税割の税額になります。
(都道府県)法人税額× 1.0
(市町村)法人税額× 6.0
 
例えば、法人税の額が 400万円の会社は、
道府県民税: 400万円× 1.0%= 4万円
市町村民税: 400万円× 6.0%= 24万円
合計: 28万円となります。
 
※基準となる資本金額や法人税額は地域によって違うため、必ず確認が必要です。
 
個人の住民税が、所得金額の 10%(一律)であることを考えると安いですよね。法人税もしかりで、以前のコラムで解説しましたが、法人税の最高税率 23.2%でした。個人の所得税の最高税率が 45%(住民税と合わせると 55%)です。お金を法人に残すのか個人に残すのかを考える時の目安となります。