法人税の基礎知識その② 法人税とは
2024.5.20
前回、中小法人の法人税は、1987年の31%から段階的に引き下げられ、現在15%になっているというお話をしました。
法人税は、事業年度終了後から2カ月以内に納付しなければなりません。前回で法人にかかる税金として、法人税以外の5種類(法人住民税、地方法人税、法人事業税、特別法人事業税、消費税)も同様に、事業年度終了後から2カ月以内に納付する必要があります。
5月末日決算の会社の場合、納付日は7月31日となります。この2か月間は、経理担当者は大忙しとなります。6月中旬以降、ある程度の数字が固まると税理士から法人税などの税金の額がいくらぐらいになるかの連絡が入ります。
赤字であれば、法人税は納付する必要がありませんので、なにも考える必要はありません。国税庁が2023年に公開した「国税庁統計法人税表」によると、2021年度に決算を迎えたすべての法人で赤字法人率は65.3%でした。中小法人では、7割が赤字とも言われています。但し、「法人住民税」の均等割りは、資本金の額と従業員数によりますが、最低でも7万円納付する必要があります。
さて、黒字になった場合ですが、繰越欠損金がある場合や減価償却を適切に行っていない場合(未償却の部分がある場合)などは、少し考える必要があります。繰越欠損金とは、翌期以降に黒字となった場合に、黒字と相殺してマイナスとなれば納税しなくてよくなるという企業にはありがたい制度です。しかし、繰越欠損金は10年で期限を迎えるので、早めに黒字と相殺してしまいましょう。繰越欠損金で利益を相殺してもなお利益がある場合は、減価償却費の未償却部分を利用して利益を抑えていきます。
適切に税務処理を行ってもなお利益が出る場合、ここで、初めて法人税率を気にすることになります。区分:資本金1億円以下の法人なのか上記以外の普通法人課税される所得金額:利益が800万円以下なのか800万円超なのか
資本金1億円以下の法人の場合年800万円以下の部分:15%年800万円を超える部分:23.2%
資本金が1億円を超える法人は、利益の金額に関係なく23.2%
法人税率の計算式:課税所得×法人税率=法人税なので、課税所得2,000万円の場合800万円×15% = 120万円課税所得2,000万円のうち800万円を超えた、残りの1,200万円は、1,200万円×23.20% = 278万4,000円最終的な法人税:120万円 + 278万4,000円 = 398万4,000円
如何でしょうか?最終的に2,000万円の利益が出てしまったら、約400万円持っていかれることになります。ところで、2,000万円の利益を上げるための売上はいくら必要なのでしょうか?売上高当期利益率は、業種によって大きなばらつきがあります。しかし、5%もあれば、凄い優良企業ですよね。その場合の売上高は、2,000万円÷0.05=4億円となります。