経営を見直すためのSWOT分析その③ 外部環境分析
2023.12.20
SWOT分析は、企業の置かれている現状を分析するツールです。経営戦略を立てるときにまず現状把握が何よりも大切であることは言うまでもありません。今回は、外部環境である機会 (Opportunities)、脅威 (Threats)をどのように分析したらよいのかをお伝えします。
企業を取り巻く外部環境にはさまざまなものがあります。戦略を策定するに当たっては、次の事項について一つ一つ分析をしていきます。重要なことは、すべての項目を漏れなく分析することです。例として、株式会社アイエフパートナーズの企業型確定拠出年金(企業型DC)の中小企業への導入事業について触れていきます。
1,環境要因の識別
① 消費者・購入者などの市場動向――>例、iDeCoの普及、資産運用への意識の高まり
② 業界動向――>例、企業型DCの普及を担うべき金融機関は中小企業に消極的
③ 競争状況――>例、中小企業への企業型DCを行う団体は少し増えてきたが少数
④ 社会・経済情勢――>例、政府自ら、貯蓄から投資への意識を高めようとしている
⑤ 法的・社会的・経済的規制の有無――>例、特になし
消費者・購入者などの市場動向、業界動向、競争状況は、事業を進めるに当たって直接的かつ重要な影響を与えるものです。また、社会・経済情勢など、一般環境の見極めも重要です。たとえば、消費者の環境意識の高まりは、企業戦略にも大きな影響を与えるでしょう。コンプライアンス(法令遵守)意識の高まりも大きな要素です。法的・社会的・経済的規制の有無も将来を見据えて検討していく必要があります。
2,機会の識別
特定の外部要因が組織やプロジェクトにとって機会となる可能性があるかを評価します。たとえば、新しい市場の開拓、技術の進歩、競合他社の弱みなどが挙げられます。
例の企業の場合、5つの環境要因において、すべて機会と捉えて良いでしょう。
3,脅威の識別
特定の外部要因が組織やプロジェクトにとって脅威となる可能性があるかを評価します。これには、競合他社の強み、法的な変更、経済の不安定性などが含まれます。
例の企業の場合、目先において考えられる脅威は無いと言えますが、将来、厚生労働省が中小企業向けに簡易な手続きの企業型DCを作ることが考えられます。
4,情報の整理と評価
収集した情報を整理し、各要因がどれくらい影響を及ぼす可能性があるかを評価します。影響度や発生確率を考慮することが重要です。
5,結論の導出
外部環境の分析を基に、機会と脅威の優先順位をつけ、どれが最も重要な要因なのかを把握します。これにより、組織やプロジェクトがどの方向に進むべきかを判断できます。
6,対策の立案
特に脅威に対処するための戦略や機会を活かすための計画を策定します。これがSWOT分析の本質であり、組織が自らの強みを活かして外部環境の変化に対応できるようにする手段です。
例の企業の場合、中小企業への企業型DCの導入は、フォローの風が吹いているので内部環境分析で行った強みを生かして積極的な業務拡大が望まれます。
SWOT分析は継続的なプロセスであり、外部環境が変化するたびに更新されるべきです。