貸借対照表の重要な勘定科目 利益剰余金の見方③
2023.10.23
前回は、債務超過の企業の現在と3年後のMTチャート®を見てみました。
今回は、利益剰余金のバランスシート(B/S)に占める割合が大きい企業を見てみましょう。
利益剰余金の金額は、過去の利益が蓄積された結果ですので、利益剰余金が潤沢ということは、今までの業績が好調であった表われです。
ここで、当該企業の純資産の部を見てみましょう。
【株主資本】
2022年
9月期
資本金 | 50,000,000円 |
利益剰余金 | 413,000,000円 |
純資産の部合計 | 463,000,000円 |
負債純資産合計 1,380,000,000円なので、自己資本比率 33.6%です。
ご参考:売上高 2,953,000,000円、現預金 670,000,000円
優良企業と言って良いのではないでしょうか。
MTチャート ®を見てみましょう。
如何でしょうか?リフォームなどを手がける会社です。
2022年 9月期を見る限りは、経営の安全性と健全性の指標が Aランクで十分ですが、収益性に問題がありますね。
リフォーム事業もコロナの影響を受けて、 2020年から 3期連続営業赤字でした。ようやく、売り上げが上向いてきて、営業赤字も縮小してきています。
では、コロナ前の MTチャート ®は、どうだったのでしょう?
コロナ前は、営業利益がプラスで収益力のランクは、 Bランクです。成長力は Cランクと言って良いでしょう。
コロナ前と現在を比較していえることは以下の 2点です。
ご参考( 2019年 9月期):
売上高 3,290,000,000円、現預金 600,000,000円、固定負債 90,000,000円
1,財務の安全性と健全性(利益剰余金)のおかげで、コロナ禍を乗り越えることができた。 2022年 9月期の売り上げは、コロナ前を回復していないが、順調に回復し営業利益もプラスに転じるであろうことが予想される。
2,借入金や自己資本を利用して、より収益性の高い事業へ投資できたのではないか。財務内容は、金融機関が望む水準を十分にクリアしている。一方で、収益性の高い事業への投資(利益剰余金の活用)がなされていないように見受けられる。
3回に渡り、利益剰余金について説明しました。利益剰余金は、勘定科目の中で最重要科目です。経営者の考え方(成長志向なのか安定志向なのか)が表現されていますので、まず、利益剰余金に目を付けていきましょう。