助成金と補助金の違いその②:補助金
2023.08.21
前回のコラムでは、助成金についてお話ししました。今回は、補助金です。
助成金・補助金ともに、「返済不要」で「後払い」は共通なのですが、全く別物です。
補助金の財源と支給の流れ
補助金は経済産業省の管轄で経済産業省の政策に沿った内容のものが多いです。補助金の財源は税金です。中小企業で取り組みやすい補助金は「ものづくり補助金」「事業再構築補助金」「IT導入補助金」「小規模事業持続化補助金」などがあります。
補助金は税金が財源なので、不正な受給を防ぐためにかなり面倒な審査と事後チェックが行われます。応募しても審査段階で落とされることもよくあります。助成金は、書類がしっかりと整っていれば、ほぼ審査に通り受給できるのとは大きな違いがあります。但し、助成金が雇用保険を財源としているので、従業員を雇用している企業しか受給できないのに対して、補助金は、税金が財源なので個人事業主や一人社長の会社も受給できるのが特長です。
補助金は種類によってそれぞれ応募できる期間が定められます。商工会議所などのホームページでチャックしましょう。給付は「公募→申請書類の提出→書類審査→(面接)→採択の決定→実施→支給申請→給付」といった流れです。申請書類を提出してから給付を受けるまでの期間は、8か月から1年程度です。
助成金と違い数千万受給できる補助金もあるので、事業計画の作成は念入りに行う必要があります。その為、中小企業診断士やコンサルタントをつける場合が多いです。具体的には、金額の大きい「ものづくり補助金」や「事業再構築補助金」は、専門家を付けることをお勧めします。専門家には、報酬を支払う必要がありますが、そもそも国からタダでもらえるものなので、20%程度の報酬でも納得できるでしょう。一方、「IT導入補助金」「小規模事業持続化補助金」受給金額が数十万円程度であったりします。専門家は引き受けたがらないのが実情です。
補助金活用の具体例
株式会社アイエフパートナーズを例に具体例を見ていきましょう。
2022年:小規模事業持続化補助金50万円受給
生産性向上、販路拡大、新規事業開始の項目で約110万円の事業に対して、3分の2か50万円の内、小さい金額という条件でした。
⑫委託費 | 会員管理システムの構築 | 単価170,000×1回 | 170,000 |
⑫委託費 | 会員への支払い通知書作成システムのバージョンアップ | 単価100,000×1回 | 100,000 |
②広報費 | 新規顧客獲得のためのweb広告費用 | 単価50,000×7回 | 350,000 |
⑨専門家謝金 | 新規顧客獲得のためのweb広告戦略専門家報酬 | 単価100,000×1回 | 100,000 |
①機械装置等費 | 新規事業開始のためのオフィス設備費 | 単価379,700円 | 379,700 |
具体例を見るとイメージが膨らむと思います。また、補助金の内容は、国の政策に対応していることが分かります。アイエフパートナーズの場合、コンサルタントを付けず自社ですべ申請などの事務を行いました。但し、補助金申請に係る人件費を考慮すると、専門家を付けた場合と大して変わらなかったかもしれません。補助金は助成金と同様に、雑収入に計上されます。赤字企業は良いのですが、黒字だと税金がかかることに注意が必要です。
補助金の最大の注意点は、お金をもらえるからと言って「補助金ありき」の事業計画では、たとえ受給できたとしても、その後の事業はうまくいかないということです。まず、「事業計画ありき」で、その事業で補助金が出るなら申請しようという考え方で取り組みましょう。
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